お子さんには収穫体験を!食育で好き嫌いも克服できるかも?

公開日:2025年6月1日

さつま芋を収穫する男の子

※画像はすべてイメージです

「子どもが野菜を食べない」「好き嫌いが激しい」「食べてもらう工夫を考えるのが大変」――など、子育ての「食」に関するお悩み。健康に育ってほしいという願いでバランスの取れた食事を作っても、敏感な子どもたちは苦手な野菜だけを綺麗に残し、せっかく手間をかけたのに・・・どうしたら食べてくれるの?と途方に暮れる日々を送っていませんか?

そんなお悩みの手助けをするのが「収獲体験」です。

収獲体験をしたくらいで何か変わる?と思われるかもしれませんが、以外にもこの体験が子どもたちの心と体に大きな影響を与えてくれます。種まきや苗植え、収穫、土に触れる感覚――自然の中で体を動かしながら、「食べ物がどうやってできるのか?」を自分の体で学ぶことができる収獲体験は、野菜や果物を「好き」になるキッカケをつくります。

今回は、小学生以下のお子さんを持つ保護者の方に向けて、「なぜ収獲体験が子どもにおすすめなのか?」を解説。体験による変化、メリット、親にとっての価値、さらには気になる「何歳からできる?」などの疑問にもお答えしていきます。

 

目次
  1. 1.自然体験の力:五感・非認知能力が育つ
  2. 2. お子さんの成長に与える具体的な影響
  3. 3. 食育としての効果:好き嫌い克服のキッカケに
  4. 4. 年齢別のおすすめ体験は
  5. 5. 体験時の注意点と親の関わり方
  6. 6. 親にとってのメリットとは?家族の絆も深まる収穫体験
  7. 7. 実際の親子体験談:収穫体験で見えた子どもの変化
  8. 8. まとめ

 

1.自然体験の力:五感・非認知能力が育つ

 

トウモロコシを収穫する女の子

 

収獲体験は、野菜が育つ過程を知るだけではありません。自然の中で過ごす時間そのものが、子どもたちの心と体を豊かに育てます。

土の匂い、水の冷たさ、風の音、野菜の色や形……収穫体験は五感をフルに使う体験です。自然の中で五感を刺激されることは、脳の発達にとても良い影響を与えるといわれています。

また、目に見える“成果”がすぐには出ない農作業では、根気や集中力、協調性、観察力などの「非認知能力」が自然と育まれます。

これらは、テストでは測れないけれど、将来子どもが自信を持って生きていくために欠かせない力。自然の中での学びは、机上の学習だけでは補えない“生きる力”を伸ばしてくれるのです。

 

2.お子さんの成長に与える具体的な影響

 

大根を収穫する兄弟

 

収獲体験は、継続的に参加したり、1日しっかり向き合う体験を通じて、子どもたちに目に見える変化が現れます。

 

1. 自己肯定感が高まる

自分の手で何かを育てるという経験は、子どもにとってとても誇らしいことです。「自分が植えた」「大きな野菜が採れた」と、小さな成功体験を積み重ねることができます。 この成功体験は、「自分にはできる」という自信や自己肯定感を育て、ほかの学びや生活にも良い影響を与えます。

 

2. 命の大切さを学ぶ

植物を育てていると、枯れてしまったり、虫に食べられてしまったりすることもあります。その中で、命が「有限」であり、大切に扱うべきものだということを、体感として学ぶことができます。 これは、生き物に対する思いやりや優しさにもつながり、情操教育としても非常に価値がある要素です。

 

3. 食への興味が広がる

収獲体験をきっかけに、「この野菜、どうやって料理するの?」「トマトって花が咲くの?」など、食べ物や料理への関心が高まる子どもも多くいます。 台所に立って手伝ってくれたり、献立に意見を出したりと、家族のコミュニケーションも自然と広がっていきます。

 

3. 食育としての効果:好き嫌い克服のキッカケに

 

好き嫌いを克服する子ども

 

「にんじんは嫌い」「トマトは食べたくない」――栄養豊富な緑黄食野菜ほど、子どもはなぜか、苦手意識を持ちます。幼いころの自分を思い出してもピーマンが嫌いだったなあ、なんて思い浮かべる方も多いでしょう。

土に触れ、種をまき、水をあげ、少しずつ育っていく野菜の姿を見守る、それを収穫する、といった経験は野菜に対する“親しみ”や“愛着”が芽生えます。「自分で育てた」、「自分で選んで採った」野菜や果物は、子どもたちにとって特別なのです。

「これ、ぼくが採ったにんじんだよ!」と誇らしげに語るその顔を見れば、もう苦手意識は無くなっているはずです。 自分で育てたり、自分で収獲したものだからこそ、「食べてみようかな」と思えるようになります。

好き嫌いが改善されたという声は数多く、食育の現場でも収穫体験の効果が評価されています。

 

4. 年齢別のおすすめ体験

 

きゅうりを収穫する幼い女の子

 

収獲体験と聞いて、「うちの子でも参加できるかな?」「道具を使ったりして危なくないの?」「体力が持つかな」などの印象があるかもしれませんが、道具を使わず、小さなお子様でも簡単に夢中になれる様々な体験がございます。

体験は1~2時間程度のものから、半日、1日、数日間の滞在型などございますので、お子さんの年齢や興味にあったものを選んでみましょう。

 

🐣【0~2歳】親子でのんびり楽しめる体験

特徴:まだ自力で作業は難しい年齢ですが、土や植物に触れる経験が重要です。親子で参加できるプログラムをおすすめします。 おすすめ体験: ➀芋ほり(地面が柔らかく掘りやすい) ➁いちご狩り(歩きながら摘める、抱っこしながらも可能) ➂田んぼや畑の見学(五感を刺激する自然体験) ➃ハーブ摘み・花摘み(匂いや色を楽しめる)

 

🐤【3~5歳(年少~年長)】“やってみたい!”が育つ体験

特徴:簡単な手作業ができるようになる時期です。成果が目に見える体験をおすすめします。 おすすめ体験: ➀ブルーベリー・ミニトマトなど小粒な果物の収穫 ➁種まきや苗を植える体験(植え付けと収獲がセットの体験がおすすめ) ➂バケツ稲体験(バケツでやることで汚れなども気にしなくて良い)

 

🧒【6~7歳(小学校低学年)】「自分でできた!」がうれしい体験

特徴:道具もある程度使えるようになり、達成感が重要に。簡単な栽培や収穫の意味も理解できるようになります。 おすすめ体験: ➀サツマイモ・ジャガイモ堀り(収穫の喜びが大きい) ➁田植え・稲刈り体験(泥んこ遊び感覚で大人気) ➂野菜の収穫&調理(収穫後に簡単なクッキング体験があるとベスト)

 

👨‍🌾 年齢問わずおすすめ!親子で楽しめる体験の工夫

➀動物ふれあい付き農場体験(ヤギやウサギにエサやりもできる農園が増えています) ➁季節の味覚狩り+ピクニック(家族のレジャーにおすすめ) ➂「自分の野菜」を育てる体験(家庭菜園キットの持ち帰りや定期通い)

 

5. 体験時の注意点と親の関わり方

 

田舎風景

 

何をしても飽きやすい子、体調が心配、など参加する前に感じる不安要素は、以下のちょっとした工夫で解消しましょう。

 

➀飽きやすい年齢の子には“遊び感覚”で

特に年齢が低いお子さんは、集中力が続かないこともあります。そんなときは、「お仕事」として取り組ませるよりも、遊びの延長として捉える工夫をしてみましょう。 例えば「土の中にミミズを探してみよう!」とか、「大きな葉っぱを帽子にしてみよう」など、興味を持てるポイントを親子で探してあげることが大切です。

 

➁天候や暑さ・寒さへの配慮を忘れずに

自然の中で行われるため、天候や気温の影響を大きく受けます。暑い日には熱中症のリスク、寒い日には防寒対策が必要です。 帽子、水筒、日焼け止め、タオルなどの準備はもちろん、無理せず休憩を取ることも忘れずに。現地の方に相談すれば、日陰で休める場所を案内してくれることが多いです。

 

➂すべて完璧にできなくてOK

収穫した野菜がうまく取れなかったり、植えた苗が枯れてしまったり……そんなこともあります。でもそれこそが「体験」。 失敗も含めて学びの場であることを親が理解し、子どもを責めたりしないことが、成功以上に大切な価値を生み出します。

 

6. 親にとってのメリットとは?家族の絆も深まる体験

 

ブロッコリーを収穫する子ども

 

子どもにとっての教育効果だけでなく、親にとっても嬉しい発見やメリットがあります。

 

➀子どもの新しい一面に気づける

普段はテレビやゲームばかりだった子が、真剣な顔で土を掘っていたり、予想外に器用に作業をこなしていたり。日常とは違う環境だからこそ、子どもの新たな才能や興味を発見できるかもしれません。

 

➁ 自然の中で親もリフレッシュ

農業体験は、自然に囲まれた開放的な環境で行われることがほとんど。空気がきれいで静かな場所で、スマホを置いてゆったり過ごす時間は、親自身のストレス解消にもなります.

 

➂共通の思い出で家族の絆が深まる

親子で汗をかき、一緒に収穫を喜ぶ体験は、かけがえのない家族の思い出になります。帰宅後も「このトマト、農園で採ったやつだね!」と話題が広がり、子育ての時間がより楽しく、豊かになるでしょう。 何気ない体験が、子どもにとっても親にとっても、心に残る人生の1ページになる。農業体験は、そんな価値ある時間を家族にもたらしてくれるのです。

 

7.実際の親子体験談:収獲体験で見えた子どもの変化

 

農業体験親子

 

子どもにとっての教育効果だけでなく、親にとっても嬉しい発見やメリットがあります。

体験談①:4歳女の子とママ(東京都在住)

「娘は野菜全般が苦手で、特にピーマンとトマトは断固拒否。でも、夏休みに収獲体験でトマトを収穫して食べてみたら、なんと完食!『あまい!おいしい!』と大喜び。あれ以来、家でもトマトを食べてくれるようになりました。育てるって、すごい影響力ですね。」

 

体験談②:5歳男の子とパパ(名古屋市在住)

「普段から落ち着きがない息子が、畑の中ではすごく集中していて驚きました。特に収穫時は『もっとやりたい!』と目を輝かせていて、親としても新たな一面が見えました。家に帰ってからも『おれ、将来は農家になる!』なんて言ってます(笑)」

 

体験談③:6歳女の子と両親(大阪府在住)

「家族3人で参加したイモ掘り体験。土の中からサツマイモが出てきた瞬間、娘が『すごーい!これ食べられるの?』と大興奮!その場で焼き芋にして食べたときの顔は、今でも忘れられません。子どもにとって“体験と実感”は大きな学びになるんだなと実感しました。」

 

7.実際の親子体験談:収獲体験で見えた子どもの変化

 

畑で作業する兄弟

 

収獲体験は、子どもたちにとって心と体を豊かに育てる“食育の原点”です。

野菜嫌いだった子が、自分で育てたことで「食べてみよう」と思えるようになった。落ち着きがなかった子が、夢中で自然と向き合うようになった。家族の会話が増え、笑顔が増えた――それらすべては、ただ“土に触れる”というシンプルな体験から始まっています。

そして親にとっても、子どもの成長に直接関われる貴重な時間。自然の中で一緒に笑い、驚き、発見する時間は、家族の絆を強く結び直してくれます。

今の子どもたちは、タブレットやスマホには慣れていても、土や太陽の温かさには触れる機会が少ない時代です。だからこそ、“育てる・収穫する・食べる”という体験は、より価値を増しているのではないでしょうか。

いきなり長期の体験に参加しなくても、日帰りイベントや1時間の体験からスタートできます。おうちで家庭菜園をしてみるのも良いかもしれません。「やってみたいな」と思った今が、親子の食育体験のはじまり。子どもたちの未来のために、そして家族の今をもっと豊かにするために。この週末、親子で自然とふれあう第一歩を踏み出してみませんか?