コウノトリが舞うまち・但馬
〜人と自然のやさしい循環〜

公開日:2025年9月1日

コウノトリが舞うまち表題

※画像はすべてイメージです

 

目次
  1. 1.但馬ってこんなところ
  2. 2. コウノトリと農業の深い関係
  3. 3. 循環型農業のしくみ
  4. 4. 人とコウノトリが共に暮らすまち
  5. 5. コウノトリとこれから
  6. 6. おわりに

 

1.但馬ってこんなところ

 

たじま地域地図

 

兵庫県の北部、日本海に面した但馬(たじま)地域。豊岡市、養父市、朝来市、新温泉町、香美町といったまちがあり、海も山も川もギュッと詰まった自然豊かなエリアです。

冬はスキーや雪景色、春は桜並木や田んぼに映る「逆さ山」、夏は涼しい渓谷や海水浴、秋は紅葉と新米——季節ごとに楽しみ方がいっぱい。

観光では城崎温泉の外湯めぐり、天空の城・竹田城跡、そして出石そばが有名ですが、この地域を語るうえで外せない存在が「コウノトリ」です。

かつて日本中にいたコウノトリは、農薬の普及や河川改修でエサ場を失い、1971年に野生から姿を消しました。でも但馬の人たちは「もう一度、あの空にコウノトリを」と立ち上がり、長年の努力を重ねました。その結果、今では自然界での繁殖も見られるようになったのです。

 

2.コウノトリと農業の深い関係

 

コウノトリと畑

 

コウノトリの好きなごちそうは、小魚、カエル、ドジョウ、昆虫など。つまり田んぼや川にいろんな生き物がいないと生きていけません。

でも効率重視の農業では、農薬や化学肥料の影響でそうした生き物が減ってしまいます。そこで登場したのが「コウノトリ育む農法(環境創造型農業)」。農薬や化学肥料をできるだけ減らし、冬も田んぼに水を張る「冬期湛水(とうきたんすい)」で、生き物たちのすみかを守ります。

そんな田んぼはまるで小さなビオトープ。ドジョウがスイスイ、カエルがゲコゲコ、イトトンボがひらひら——コウノトリが安心して暮らせる環境が広がります。

そこの取り組みは全国的に評価され、農林水産大臣賞を受賞。今では環境と農業を両立させるモデルとして、全国から農業視察に訪れる方がいます。

 

3. 循環型農業のしくみ

 

循環農業のイメージ図

 

但馬の農業は「自然の力を活かして資源をぐるぐる回す」循環型スタイル。

稲作で出たワラは牛や馬のごはんになり、そのふんは発酵させて堆肥に。堆肥は化学肥料の代わりになって土を元気にし、微生物も活性化します。

さらに「コウノトリ育む農法(環境創造型農業)」の田んぼには生き物が増えるので、害虫を食べるカエルやトンボもいっぱい。結果的に農薬の使用量をもっと減らせて、農家さんの負担も軽くなります。

こうして「自然 → 生き物 → 農業 → 暮らし」というサイクルが続きます。どれか一つ欠けたら成り立たない、まるで地域全体が大きな生態系のようなつながりです。

 

4.人とコウノトリが共に暮らすまち

 

コウノトリの郷公園

 

但馬の田園を歩くと、エサを探すコウノトリや、巣塔で羽を休める姿を目にすることがあります。これは偶然ではなく、地域ぐるみで環境を守ってきた証です。

豊岡市の「コウノトリの郷公園」では、保護や繁殖の歴史を学べて、観察用双眼鏡で巣の様子も見られます。まちのあちこちに巣塔やモニュメントがあり、観光ルートにもなっています。

地元の学校では、コウノトリや農業をテーマにした授業が行われ、子どもたちが自分のまちの自然や食文化を誇れるようになっています。観光・教育・農業がゆるやかにつながり、人とコウノトリが本当に“ご近所さん”のように暮らしているのです。

 

5. コウノトリとこれから

 

コウノトリの巣

 

絶滅からの復活まで、実に30年以上の努力がありました。そして今も、但馬の空には新しい命が羽ばたき続けています。

これからの課題は、この暮らしを未来へつなぐこと。その一歩は、まず訪れてみること。コウノトリが舞う風景を眺め、「コウノトリ育むお米」や地元野菜を味わう——それが地域の力になります。

観光で来た人が「また来たい」と思い、農産物を食べた人が「また食べたい」と思う。そんな日常の中に、コウノトリと地域の未来が育まれています。

 

6. おわりに

 

コウノトリと農産物

 

但馬の空を悠々と飛ぶコウノトリ。その姿は、人と自然が共に歩んできた証でもあります。農業と環境保全が手を取り合うこのまちは、持続可能な暮らしのヒントがたくさん詰まっています。

次の休日は、青く澄んだ空と田んぼの緑、そして大きな翼を持つコウノトリに会いに出かけてみませんか?きっと心が癒されるはずです。

 


 

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